第10回効果をあげる理学療法技術としての装具療法を考えるフォーラム
2022/08/20
私たち人類は、世の中にあるさまざま道具を有効に活用することにより、一見不可能と思われる状況に直面した場合にも、多くの難題を乗り越えてきました。近年では、スマートフォンを利用したICT(情報通信技術)やロボットの活用による手術成績の向上、介護負担の軽減など、多くの取り組みがなされています。日本支援工学理学療法学会では、さまざまな理由によって生活に障害が生じている方々に対して、工学的な根拠に基づいた生活支援を行っています。その一つの取り組みとして歩行障害に対する下肢装具があります。
周知のとおり、装具は理学療法・脳卒中ガイドラインにおいて、その効果が大いに認められています。しかし、見た目の問題や装着の手間、価格、作製手続きの煩雑さなど様々な理由により、装具を必要とする方々に対して、その機能が十分に活用されているとはいえません。日本理学療法学会学術大会において、義肢装具に関する演題発表数は、1980年頃には16%程度でしたが、2010年には2%を下回っていたとの報告があります。また、その頃装具に関する研修会は皆無でした。
そこで本学会では、これら危機的な状況に対して、2018年3月より、第1回効果をあげる理学療法技術としての装具療法を考えるフォーラムを開始しました。第8回までは主に脳卒中片麻痺者に対する装具の適応など基本的な対応に重点をおき、装具の普及・啓発活動を行ってまいりました。近年では、装具製作会社主催や志を同じくした関係職種による研修会も開催されるようになり、理学療法士が装具を学習する機会は増えつつあります。
これを契機に、本学会では今年度から趣向を変え、9月10日(土)開催の第9回装具フォーラムでは、上肢・体幹など対象部位の拡大、小児や運動器など対象疾患の拡大を図った研修会が企画されました。この第10回装具フォーラムでは、脳卒中片麻痺者を対象としつつも、これまでの基本的な内容から一歩踏み出し、より応用的な装具の活用方法について紹介して頂きます。例えば、これまでの前後方向のみを対象とした評価・介入方法から、左右の重心移動や回旋運動の制御も含めた評価・介入方法、その他、新しく開発された数々の装具活用法、未来を据えた地域における装具の取り組みなどをご報告して頂きます。今後の業務において、装具の活用範囲をより広げるきっかけにしていただけたら幸いです。
第10回効果をあげる理学療法技術としての装具療法を考えるフォーラム
フォーラム長 中野 克己
概 要
開催日 | 2023年3月11日(土) |
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会場 | ハイブリッド開催(対面:順天堂大学(東京都文京区)+Web) |
対象 | 理学療法士及びリハビリテーション関連職種(義肢装具士・医師等) |
定員数 | 対面120名、オンライン300名 |
参加費 | 【日本理学療法士協会会員】
日本支援工学理学療法学会 ・クレジット決済 2023年02月28日(火)まで受付中
【非会員・他職種・学生】 |
プログラム | 9:20~ 受付開始 9:50~ 開会式 フォーラム長挨拶 10:00~11:00 【基調講演】下肢装具の有効活用において、これから進むべき方向性について 講師:勝谷将史(西宮協立リハビリテーション病院) 司会:小川秀幸(埼玉県総合リハビリテーションセンター) 11:10~12:10 【教育講演1】脳卒中片麻痺者に対する下肢装具の応用的活用法~足底圧に着目した姿勢・歩行の制御法について~ 講師:中野克己(日本保健医療大学) 司会:宮原拓也(上尾中央総合病院) 12:50~13:50 【教育講演2】生活期を見据えた回復期病棟での装具の応用的活用法について 講師:田中惣治(済生会東神奈川リハビリテーション病院)、林翔太(済生会東神奈川リハビリテーション病院) 司会:春名弘一(北海道科学大学) 14:00~15:00 【一般演題】 4演題 座長:栗田慎也(東京都立大久保病院) 15:10~16:10 【シンポジウム】参加型ディスカッション テーマ:装具フォローアップと地域連携 講師:鈴木啓太(PO-Links鈴木啓太氏)、阿部紀之(千葉大学予防医学センター) 司会:中村学(済生会東神奈川リハビリテーション病院) 16:10~ 閉会式 |
参加登録 | 12月11日より申し込みを開始します。
日本理学療法士協会会員はマイページからお願いします。 対面参加:セミナー番号(106164) オンライン参加:セミナー番号(106162) 非協会員・他職種・学生の参加申し込みについて |
一般演題 | 様々な疾患への装具療法を使用した症例の演題を募集いたします。 症例検討では4演題を1セッションとし発表7分、質疑応答8分を設けます。演題を出される方は募集要項に従って登録をお願い致します。 発表形式は会場での発表もしくは、自宅などからの オンライン上での発表となります。 |
生涯学習ポイント | 学術事業(本フォーラム含む)は日本理学療法士協会の生涯学習制度の点数・ポイント対象外です。 |
問い合わせ | 第10回効果をあげる理学療法技術としての装具療法を考えるフォーラム 小川秀幸(埼玉県総合リハビリテーションセンター) E-mail: number.e.ight@icloud.com |
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